COLUMN|ミトシバイ(仮)vol.4
2018.08.30


結成4年目を迎える演劇ユニットこれっきりの演劇フェスティバルへの参加は今回が初めてだ。

演劇フェスティバル実行委員プロデュース、茨城大学演劇研究会、そして劇団オーネンズなど既成作品の台本を用いる公演が多い今回の演劇フェスティバルにおいて演劇ユニットこれっきりはオリジナル台本にて参加する。 台本の執筆と演出を担当するのは団体代表でもある、すがものぜしさん。水戸芸術館の大舞台に挑むにあたり、大学生のころに執筆した作品を4年ぶりにリ・ランチ(再構成)する。「色んな人の協力があってようやくここまで辿り着くことができました。何が何でも公演を成功させたいです」とその気迫は十分である。

演劇ユニットこれっきりの母体は、茨城大学にある演劇サークルの一つ演劇集団「風ノ街」である。この公演ではすがものぜしさんのサークルの同期、後輩、7つ上の先輩などキャスト・スタッフ含めて「風ノ街」出身者が殆どを締めている(余談だが筆者も「風ノ街」出身者の一人です)
参加者の中には茨城県に残って演劇を続けているものもいれば、活動の場を都内にうつしたものもいる。
すがものぜしさんのサークル同期であり、現在はMoratorium Pantsに所属し舞台・映像・デザインと多方面に活躍する高橋ともやさんに話を聞くことにできた。


左から高橋ともやさん(Moratorium Pants)、柿沢チョモさん(演劇ユニットこれっきり)

彼ら二人とすがものぜしさんは大学の同期入学、「風ノ街」でも同年代にあたる。
「僕を含め4年前の初演にも参加していたメンバーも多いのですが、再演するにあたり絶対バージョンアップははかりたいなと思ってます。台本も再構築されていて初演の時にテーマだと感じた「愛と狂気」というものが、「自分の信じる愛や正義が他人を傷つけるとなった時、いかにその状況を乗り越えるか」といった内容にテーマが刷新されていると感じました」
同じく都内に活動の場を移した林信希さん

「人を愛するということは、今の世界では一番惨めな勇気を必要する」という、つかこうへいさんの言葉を例えに出しつつも「種類の違う愛と愛のぶつかり合い」といった綺麗な言葉に包まれつつも、その実ハードで凄惨な内容にも踏み込むという作品内容の振れ幅についても語ってくれました。

SF要素を舞台設定やギミックとして用いながらも人間の本質や深さを抽出表現することが得意な、すがものぜしさんのオリジナル最新作。どことなく愁いを帯びてくる9月初頭に、ほんのりとしたサウダーデを届けてくれることであろう。

演劇ユニットこれっきり
「ルールルルーチンリリスアンドアンドリムブリヴリシオン」

9月1日(土)17:30開演 17:10開場
[全席自由]大学生以下800円、一般1,000円
作・演出/すがものぜし
出演者/数原ずん、柿沢チョモ、林信希、荒木倫子、本田蘭、ゴライ、高橋ともや 他

●あらすじ
「私の、ペットにしてあげる」
雨に濡れる少女に、傘を持った女はそう言った。記憶をなくした少女つばさと、汚れた街角をさすらう謎の少女ノゾミ。
主人とペット──奇妙な関係ながらも安らぐ時間を過ごすつばさであったが、やがて彼女は、少女と自分の正体を知る──
これは遠いようで近い、未来のお話。
結成4年目にして演劇フェスティバルに挑む!
演劇ユニットこれっきりがお贈りする、サイエンス・ラブ・ファンタジー。

お問い合わせ
TEL.050-5328-5286
Email unit_korekkiri@yahoo.co.jp

第50回記念水戸市芸術祭 演劇フェスティバル

 

能村 圭太 
ONEKEYプロジェクト代表
1984年石川県金沢市生まれ。2003年、大学入学を機に水戸市に移住。大学卒業後は「プロフェッショナルファウル」に所属し演劇を続けながら、即興劇、漫才、映画監督、ラジオDJなど手広く活動。2019年春に水戸駅近郊に自分のアトリエを持つべくクラウドファンディングを展開するなど日々邁進中。
Email koinunu55@gmail.com
https://twitter.com/pf_nomu