COLUMN|ミトシバイ(仮)vol.2
2018.08.22

水戸には10を超える劇団が存在し、それぞれ不定期に演劇公演や朗読公演を行っている。 そのいくつかの劇団から有志を募り、毎年この演劇フェスティバルで大作公演に挑戦しているのが、第1週の土曜・日曜に跨いで公演を行う、演劇フェスティバル実行委員会だ。
ウィリアム・シェイクスピア、ベルトルト・ブレヒト、唐十郎など国内外の様々な作家の超大作に取り組んできた演劇フェスティバル実行委員が今年上演するのは、日本を代表する劇作家・演出家である野田秀樹氏の「オイル」という作品である。

古事記に始まり、日米戦争や原爆、そして特攻といった重厚なテーマを混ぜ合わせたメッセージ性の強い超大作。2003年に上演されたオリジナル版では松たか子氏、藤原竜也氏、片桐はいり氏など豪華俳優陣によって彩られた本作に、水戸の俳優たちが挑戦する。

演劇事務所’99、キミトジャグジー、heart dream shoppers、プロフェッショナルファウル、茨城大学演劇研究会、玉造座、劇団遊女舞台など毛色も作風も違う数々の劇団から集まった個性派の俳優たち総勢16名。16名に対し演出をつけ物語の舵を取るのは演劇事務所’99の河原将子さん。


演劇事務所’99の演出家として数多くの作品を手掛けてきたその手腕で俳優たちをとりまとめる。

 


演劇事務所’99を代表する俳優、佐藤信郎さん。稽古場ではおちゃめな一面を見せるものの、熱の入った演技で毎年ACM劇場を感動の渦に巻き込んでいる熟練派である。平成最後の夏も暑く終わらないわけがなさそうだ。

 


キミトジャグジー、しいては水戸を代表する女優である織笠裕美さん。ACM劇場という大舞台でその演技力を余すところなく発揮し、作品に込められたメッセージをダイレクトに伝える役割を担う。

 


茨城大学演劇研究会4年の上山剣さん。8月31日に上演される茨城大学演劇研究会公演への参加ではなく、単身演劇フェスティバル実行委員の作品に参加する。与えられた配役はオリジナル版で藤原竜也氏が演じていたメインキャラクターということもあり、その気合も十分。
演劇フェスティバルには大学1年の時から4年連続での出演となるが、4年間の演技の集大成を見せてくれることだろう。

その他、紹介はできなかったが数多くの魅力的・個性的な俳優が出演する演劇フェスティバル実行委員会プロデュース「オイル」「戦争」や「原爆」といったモチーフに触れた重厚な物語だからこそ、平成最後の「8月」に見る意味があるのだと思う。

第50回記念水戸市芸術祭演劇フェスティバル参加・実行委員会プロデュース公演
「オイル」
作:野田秀樹 演出:河原将子

平成30年8月25日(土)18時 26日(日)13時
水戸芸術館ACM劇場 料金1500円
お問合せ engeki992003@yahoo.co.jp
水戸芸術館ウェブサイト

 

能村 圭太 
ONEKEYプロジェクト代表
1984年石川県金沢市生まれ。2003年、大学入学を機に水戸市に移住。大学卒業後は「プロフェッショナルファウル」に所属し演劇を続けながら、即興劇、漫才、映画監督、ラジオDJなど手広く活動。2019年春に水戸駅近郊に自分のアトリエを持つべくクラウドファンディングを展開するなど日々邁進中。
Email koinunu55@gmail.com
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