伊藤公象『土のひだ』
2019.07.27 -2019.10.13 | ARTS ISOZAKI

80年代にヴェネチア・ビエンナーレの日本代表に選ばれ、10年前に東京都現代美術館で個展も開催されている茨城在住 のアーティスト伊藤公象の展覧会がARTS ISOZAKIで7月27日から12月28日まで会期を2回に分けて開催されます。会場は水戸市銀杏坂Baseビルの1階と屋上です。3階では展示作品等を購入することができます。

7月27日(土)16時から特別なお客様を招いてレセプションを行います。どうぞご参加ください。1階のギャラリースペースでは、伊藤の新作インスタレーションが発表され、屋上はブルーパールの輝きに満たされます。

伊藤公象『土のひだ』
Ito Kosho “Folds of Soil”

会期:
第1期:7月27日(土)〜10月13日(日)
第2期:10月19日(土)〜12月28日(土) (10月14日〜18日は展示替えのため休廊)
会場: ARTS ISOZAKI
住所:茨城県水戸市三の丸1-4-17
開場日:水曜日から日曜日および祝日
開場時間:13:00-18:00
入場料:無料

◆オープニング・レセプション
2019年7月27日(土) 時間:16:00-18:00 会場: ARTS ISOZAKI

茨城県水戸市の現代アートスペースARTS ISOZAKIでは、7月27日より土を素材とする作品を制作し、現代美術の中に新しい領域を切り拓いてきた伊藤公象の個展『土のひだ』を開催いたします。
伊藤公象は土を素材にした陶造形で知られる作家です。1932年に金沢の彫金家の長男として生まれ、十代の頃に陶芸家のもとに弟子入りしましたが、その後は伝統の世界から離れ、美術という概念を問い直すような新しい表現を追求してきました。ある時は土を凍らせ、ある時は乾燥による土の収縮や亀裂を創作に採り込むなど、自然現象を活かした独自の造形は早くから注目を集めました。1978年にはインド・トリエンナーレ、1984年にはヴェネツィア・ビエンナーレに日本代表として参加するなど、その活躍の場は国内外に広がり、土の造形のパイオニアとして高い評価を得てきました。
伊藤の関心は、生命と死、有機と無機、現実と象徴の境界と、その間の緊張関係から生まれる美に長い間向けられてきました。伊藤がARTS ISOZAKIを展示場所として選んだのも、この場所が都市の開発と崩壊、光と影、内部と外部の境界に属しているからかもしれません。
この度の展覧会「土のひだ」では、伊藤が土の造形によって生み出してきた襞(ひだ)という概念の新しい展開が期待されます。1Fの会場では、これまで未発表だった紙と写真を使用した新作のインスタレーション、屋上ではブルーパールの陶を無数に配置したインスタレーションを発表します。
本展は、先端テクノロジーによって様々な境界が融解してくこれからの世界を考えるための多くの示唆をわたしたちに与えてくれるでしょう。
伊藤公象の新たな表現にどうぞご期待ください。

◆お問い合わせ
ARTS ISOZAKI 代表:磯崎寛也
住所:茨城県水戸市三の丸1-4-17
Tel : 070-2800-9585
Email : hiroya_isozaki@icloud.com
URL : http://artsisozaki.main.jp/

《アーティスト・ステートメント》


展覧会によせて
平板な台に新聞紙状の薄紙を敷き、その上にスライスした柔らかな陶土を被せる。すぐに薄紙は陶土の水分を吸収し、陶土と密着する。陶土が乾燥によって収縮、薄紙とともに完全乾燥すると、両者は無理なく剥がれる。そして、スライスした陶土は乾燥したままの状態だが、下敷きにした薄紙には複雑な皺が現れる。陶土と薄紙による交接とも。
それを皺と言うより「ひだ(襞)」と言い表してきた。
平板な台は木材がいい。乾燥時に木の肌合いと濡れた紙の隙間に空気が流れ込むからだ。ガラス板では密着度が高く、襞が生じない。陶土の柔らかさとスライスの厚みや被せ方、乾燥時間の長短、何よりもここでは乾燥と収縮の自然な働きに手を貸すのだが、A4サイズの紙の襞を得るのに陶土は何千倍の量が必要になる。その一枚の襞は同相であってもそれぞれに差異がある。
今回の個展で1Fのインスタレーションには、そのひだ(襞)紙にさらに手を加え、有機的な造形物を集合させる仕組みにした。
また、屋上のブルーパールのインスタレーションは、街中のビルに囲まれ、季節や天候の変化によって独自な光景を見せる。ARTS ISOZAKIのスペースはそうした実験的な試みを充たせる場として活用できた。

伊藤公象
令和元年7月

◆ 伊藤公象 プロフイール

造形作家・金沢美術工芸大学名誉客員教授
◇主な個展(1967〜)
秋山画廊(東京)、ギャラリーT(東京)、山崎画廊(東京)、西村画廊(東京)、青画廊(東京)、ときわ画廊(東京)、すまいギャラリー(いわき市)、ギャラリー陶千房(京都)、ギャラリー白(大阪)、鎌倉画廊(東京)、銀座松屋アートギャラリー(東京)、村松画廊(東京)、新桜町ギャラリー(富山)、MILESTON ART WORKS(富山)、常陽藝文センター(水戸)、創庫美術館″点“(新潟)、富山県立近代美術館「土の地平・伊藤公象展」、TATET・SENT・IVS「VIRUS・伊藤公象展」(英国立テート・ギャラリー・セント・アイヴス館)、金沢美術工芸大学伊藤研究室(金沢)、伊藤高蔵ORKS1974〜2009展(茨城件陶芸美術館、東京都現代美術館巡回)、金沢美術工芸大学主催・伊藤公象「JEWELの襞—プロローグ」展(金沢美術工芸大学アートギャラリー)、伊藤公象展「地表の襞—再び波立つプールに」(入善町下山芸術の森発電所美術館)、ITO FUNGHI〈菌類仮象〉展(東京国際フォーラム1F(FORUM ART SHOP・エキシビション・スペース)、ARTS ISOZAKI (水戸)、他多数。

◇主なグループ展
1973年 第1回箱根彫刻の森大賞展(第3回展まで推薦出品)
1977年 北関東美術展・大賞受賞(栃木県立美術館)
1978年 インド・トリエンナーレ国祭美術展・ゴールドメダル受賞(ニューデリー)
1981年 現代の陶芸「いま土と火で何が可能か」(山口県立美術館)
1983年 カナダ巡回・現代日本陶芸展(国際交流基金主催)
1983年 今日の日本の美術展(スイス・ジゥネーブ・ラート美術館)
1984年 ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展(ヴェネチア)
1984年 現代美術の動向・その国際性と独自性展(東京都美術館)
1985年 台北国際陶芸展(台北市立美術館)
1985年 もう一つの美術館〈解体をめぐって〉砂へ・そして砂か(いわき市美術館)
1986年 芸術と素朴展—砂のワークショップ(世田谷美術館開館記念)
1987年 土と炎—今日の造形・新たな展開と可能性展(岐阜県美術館)
1989年 地・間・余白—今日の表現から(埼玉県立近代美術館)
1989年 アートイベント砺波—野上祇麿と2人展(アートスペース砺波)
1991年 セブン・アーチシツ・今日の日本美術展(サンタモニカ、ポートランド、タマヨ、ニューオーリンズ各美術館、名古屋市美術館を巡回)
1991年 野生の復権—世田谷美術館開館5周年記念(バルコニーに常設展示)
1991年 日本陶芸展(第11回、第16回推薦招待、第17回、第18回招待出品)
1992年 1970年代の日本の美術展(ボローニャ私立近代美術館)
1993年 現代の陶芸1950−1990(愛知県美術館)
1995年 PRAZA SELCTION 1&1 池田龍夫・伊藤公象展(プラザ・ギャラリー)
1997年 開館20周年記念展・国際美術館の20年(国立国際美術館)
1998年 アート/生体系 美術表現の「自然」と「制作」(宇都宮美術館)
1999年 「森に生きるかたち」展(彫刻の森美術館開館30周年記念)
2001年 現代陶芸の精鋭—21世紀を開くやきものの手法とかたち—
2002年 「12人の挑戦展—ヴェネチア・ビエンナーレ出品作家(水戸芸術館)
2005年 第21回現代日本彫刻展(宇部市野外彫刻美術館)
2005年 「生命・珪藻土礼賛」—1200万年の海底から—(金沢21世紀美術館)
2008年 珪藻土礼賛・植物プランクトンの精気から(東京・文房堂ギャラリー)
2008年 「土—大地のちから展」(群馬県立館林美術館)
2010年 「会津漆の芸術祭」(福島県立博物館)
2010年 福島現代美術ビエンナーレ(福島県文化センター)
2013年 ジュエルの海(茨城・大洗水族館)
2014年 戦後日本美術の転換点(群馬県立近代美術館)
2015年 コレクション・ビカミング(東京都現代美術館)
2016年 伊藤公象・伊藤遠平にニ人展(常陸出雲大社・ぎゃらりー桜林
2016年 KENPOKU ART 2016・茨城県県北芸術祭(高萩市・穂積家住宅)
2016年 「MOVING!ミュージアムが「動く」(富山県県立近代美術館)
2017年 伊藤公象・伊藤遠平ニ人展(A&Dギャラリー)
2018年 新潟市「水と土の芸術祭」(芸術祭メイン会場)
2019年 伊藤公象・伊藤知香二人展(伊藤アトリエ)

◇主なパブリックコレクション(順不同)
栃木県立美術館、富山県立近代美術館、熊本県県立美術館、インド国立美術館、フランス国立セーブル陶磁美術館、日本国際交流基金、東京都現代美術館、宇都宮美術館、金沢美術工芸大学、いわき市美術館(常設展示)、茨城県陶芸美術館(常設展示)、山口県立美術館、岐阜県美術館、広島市現代美術館(常設展示)、世田谷美術館(常設展示)、台北市立美術館、常陽藝文センター、県立笠間陶芸大学(旧茨城県窯業指導所・常設)、女子美術大学、滋賀県立陶芸の森美術館、高松市美術館、愛知県美術館、FORUM ART SHOP、常陸出雲大社。

他に、茨城県水戸合同庁舎、茨城県市町村会館、アオーレ長岡、常陽竹馬ビル、ホテル・ペニンシゥラ東京、笠間市支所庁舎、大洗町庁舎などの陶壁制作や、「涸沼・土の光景」「陶の杜」(笠間芸術の森公園内)、海岸の波打ち際のピンクの焼き砂を撒く「雰囲気・化粧」、大洗水族館での「ジュエルの海」などのアートイベントを主催。NHK「土曜日の朝」「やきもの探訪」などに出演、著書に「木の肉・土の刃」僕の陶造形ノート(学芸通信社)、「KOSHIO ITO」博新堂美術出版。その他の共著がある。

水戸クリエイティヴウィーク2019 参画企画

水戸の街をもっとクリエイティヴに、
水戸の魅力をじっくり味わえる17日間!
『水戸クリエイティヴウィーク2019』
2019年9月7日(土)〜23日(月・祝)
開催場所:水戸市内各所

「まじわり、とどまる。」
9月、茨城県水戸市の中心市街地を舞台に、食・映画・クラフト・アート・デザイン・音楽…交差する様々なプロジェクトを通して水戸の土地、風土、文化、人の魅力に触れる2週間。
 
水戸クリエイティヴウィークとは
秋、同時期に行なわれる文化的な催しを1つのフレームで見せる事で発信力を強化し、様々な方に楽しんでもらおうという試みです。
茨城県県庁所在地である水戸は、水戸芸術館をはじめ数々の文化施設を有し近隣エリアだけでなく日本の文化をリードしてきました。その土地で活動する様々なプロジェクトが集結して9月の連休に開催する新しいお祭りが『水戸クリエイティヴウィーク』。昨年は17日間で延べ8.9万人超の集客があり、様々な人が思い思いに水戸のまちを楽しみました。6年目となる今年も、アートや音楽、クラフト、映画など37もの多種多様な企画が参画しています。水戸の街の魅力を掘り起こしながら、新たな文化の創造・発信を目指していきます。
水戸の街をもっとクリエイティヴに、水戸の魅力をじっくり味わえる17日間! どうぞお楽しみに!
http://mito-creative-week.com/

 


イベント情報

伊藤公象『土のひだ』
会期:第1期 7月27日(土)〜10月13日(日)
第2期 10月19日(土)〜12月28日(土)
(10月14日〜18日は展示替えのため休廊)
会場: ARTS ISOZAKI
住所:茨城県水戸市三の丸1-4-17
開場日:水曜日から日曜日および祝日
開場時間:13:00-18:00
入場料:無料
http://artsisozaki.main.jp/