COLUMN|ミトシバイ(仮)vol.3
2018.08.29

茨城大学には2つの演劇サークルがあり、そのうちの一つ「茨城大学演劇研究会」の公演が8月31日に行われる。茨城大学演劇研究会は部員総勢40名近く。今回の挑戦するのは、ほさかよう作の「小さなお茶会」という作品。喫茶店を舞台に登場人物の恋の駆け引きや感情の機微がコーヒーとミルクのマーブルの模様さながら描かれる人間ドラマだ。演出の大津小夏さんを始め、4年生1名、3年生4名、2年生4名、1年生1名の総勢10名のキャスト、そしてそのキャストを支えるスタッフが一丸となって稽古に取り組んでいる。

通例、演劇サークルの稽古は茨城大学水戸キャンパスの敷地内にあるサークル棟で行われている。筆者が通っていた頃のように24時間いつでも稽古や作業が行えるというような状態ではないものの、それでも長時間稽古を行ったり、舞台装置や小道具などを組んで貯めて置ける様は拠点と呼んでも差し支えないものであろう。

サークルの元会長である大島淳さん(3年)、そして今回の演出をとる大津小夏さん(3年)に話を聞くことができました。


左から大島淳さん、大津小夏さん、キャストの深田祐来さん(3年)

大学入学と共に演劇を始めたという二人。演劇を始めるに至ったきっかけを聞かせて頂きました。
大島『1年の初めのころ新歓祭で演劇研究会の公演を見たのですが、想像してたものよりとても楽しく先輩たちが演じられていまして、この中に入れば僕も楽しく過ごせそうだなぁと感じたのがきっかけです』
大津『演劇は好きだったのですが自分で「やる」ということはあまり考えてなかったのですが、1年生の頃の9月に水戸芸術館で行われた舞台版「夜のピクニック」に縁あって参加した際に、演劇研究会の先輩たちに仲良くさせて頂いたことがきっかけで「作る側の楽しみ」を知り、その後数回の見学を経て演劇研究会へ入りました。』

Q.今回の脚本を選んだ理由を聞かせてください
大津『作品の面白さもありますが、キャストの年齢や舞台を考えた際「これならおもしろくつくれそう」と思い選ばせて頂きました。また普段から、舞台装置が広かったり派手な舞台を見に行くことが多く、サークルで大きな舞台を使ってやってみたいと考えたら8月の機会にやるしかないなぁと思いました。』

Q.夏公演への意気込みを聞かせてください
大島『演劇フェスティバルの舞台に3年連続で参加させて頂いて、去年まではガムシャラにやるだけ!って感じだったのですが、3年ともなると後輩が増えてきたということもあり、下の子たちが上手くできるように協力して仕上げていきたいなと考えています。』

Q.それでは、本公演の見どころを教えてください。
大島『前半と後半のギャップというか、舞台上に起こる「変わりよう」を見て欲しいです』
大津『人間の楽しい部分を最初に見せてその後にジワジワとそうじゃない部分を見せてゆく構成になっているのですが、「楽しいだけじゃない」「光の当たる部分だけじゃない」という人間の裏側というか、怖い部分も感じてくれたら嬉しいなぁと考えています』

8月最終日、水戸芸術館で行われるのは上質な人間ドラマ。
人間模様と恋の駆け引きを味わう多幸感につつまれて9月を迎えることができそうだ。

茨城大学演劇研究会「小さなお茶会。」
8月31日(金)18:30開演 18:10開場
[全席自由]大学生以下800円、一般1,000円
作/ほさかよう 演出/大津小夏
出演者/演劇研究会会員一同

●あらすじ
カフェの店員に恋をする常連客と、その恋路に首を突っ込むマスター、アルバイト店員によるありきたりな定番ほんわかラブコメディ。カフェに長居する挙動不審な客、トイレを借りに来た青年、店員の恋人、謎の女性と誘拐される少年。少年の恋をきっかけにそれぞれの物語が展開し、交差し、ハッピーエンドに向かうはずだった物語はコーヒーカップと同時にひっくり返る。

茨城大学演劇研究会内特設サイト
https://ibadaienken.wixsite.com/smallteaparty

 

能村 圭太 
ONEKEYプロジェクト代表
1984年石川県金沢市生まれ。2003年、大学入学を機に水戸市に移住。大学卒業後は「プロフェッショナルファウル」に所属し演劇を続けながら、即興劇、漫才、映画監督、ラジオDJなど手広く活動。2019年春に水戸駅近郊に自分のアトリエを持つべくクラウドファンディングを展開するなど日々邁進中。
Email koinunu55@gmail.com
https://twitter.com/pf_nomu