Interview | 白丸たくト
2020.06.02

白丸たくト

8 INTERVIEW QUESTIONS FOR MUSICIANS@MITO

 

Q1.自己紹介をお願いします
白丸たくト。地元 兵庫県から山形を経由し、水戸に移り住んでもう二年と少しが経ちました。弾き語りをやったり映像を撮ったりカセットテープのレーベルをやったり水戸芸術館で聴く部という部活の部長をしたり、縦横無尽に動いてます。

Q2.活動を始めた経緯を教えてください
音楽の入りは中学でバンドを組んで、そのあと高校でも軽音楽部に入って歌をやったりギターを弾いたり曲をつくったりしてたんですが、そこで一つ転機があって。当時は学校の中に練習できる場所が四畳くらいの狭い教室が一部屋しかなかったんですよ。そんで、当然取り合いになるんですよね。だから練習できない分は町の方にある音楽スタジオにいって練習してたんです。そこのスタジオのマスターがめちゃくちゃ面白い人で。兵庫県川西市にあるStudio Loopってとこのマスターで、もう還暦を超えてるお方なんですけど、音楽もいっぱい知ってて見たことないようなレコードを聴かせてもらったり、スタジオボイスとか実験音楽の本を借りたり、あっちらこっちら話をしたり、いろんな経験をさせてもらいました。彼自身は和太鼓をやっているんですが、テクノのリズムやブラジルサンバのリズムを和太鼓に取り入れて演奏したりしてて、たまにわたしも自分の練習そっちのけで2人でセッションしたりもしました。10年以上わたしを見てくれてる方なので、いまだに自分の曲を聴いてもらうときは緊張しちゃいます。でも、しっかり聴いてくれて思ったことをストレートに言ってくれるのはとても有難かったですね。そこで自分の基礎ができたというか、音楽もなんでも聴くようになったし、美術の展示も見に行くようになった。それを持ち帰ってまた話しをして、、っていう中で、知らず知らずのうちに感性が磨かれていったような気がします。それがあったから表現の道に進むのはごくごく自然なことだったなあと、振り返ってみるとそんな感じです。

Q3.影響を受けたアーティストやバンドのルーツなど教えてください
ギターはKeaton Henson、ローファイはTracey Trance、Eric Copeland、バンドだとThe White Stripes、Animal Collective、ソロシンガーはLiam Gallagher、映像はDarren Almond、サンプリングはJan Jelinek、音楽家としては細野晴臣、インスタレーションはPhilippe Parreno、ジャンル横断でいうと高山明、Ragnar Kjartansson、絵はイケムラレイコ、Peter Doig、写真はSarah Moon、生き方はDavid Lynch、坂口恭平、とりあえずこの辺で。

Q4.音楽活動の中で一番大事にしていることはなんですか?
ヴィジョンやイメージが自分にとってはすごく大事です。それが見えたときは視界がぱーっ!とひらけてぶち上がります。それを形にしたらその先にまた見えるものがあって、それから作って、また見えて、聴いて、作って、、というような循環の中で生きています。その精神はいまも昔も変わりないです。

Q5.水戸で活動する意義はどんなところですか?
いま水戸芸術館のアートセンターで働いてて、働きながらいろんなものを見たり聴いたり感じたりできるのは大きいですね。あとは、人が多くて東京には住めない、けどもう少し都会でも活動したいし、何かと縁のある東北にもアクセスがいいっていうとこで、拠点として水戸は小回りが効いてすごくいい。あと移り住んだときに山がないことにびっくりしたんですが、そういう環境の変化もものすごく影響があって、いいかんじです、水戸。

Q6.ライブやリリースなど今後のトピックがあれば教えてください
ご存知のとおり、ライブやワークショップ、レジデンス諸々の予定はすべて飛んじゃって、今後の予定も立てられない状況なわけですが、そんな中でノアの箱舟のごとくインスタグラム上で新しいプロジェクトを進めています。わたしの弾き語りは自分で歌詞を書かずに、昔の詩人が書いた詩に曲をつけて歌っていて、その延長線上のプロジェクトです。自由律俳句で有名な種田山頭火って人がいるんですが、彼が死の直前まで書き残した十年分の日記が残っていて、それを一日ずつ読み進めていきながら翻訳するようにして一日一曲ずつ歌にして投稿しています。いまだと1932年の今日に書かれた日記を2020年の今日に読んで翻訳するというかんじ。88年のブランクが空いてる訳なんですが、読み進めているうちに時代を軽々と超えてくる表現が突然出てきたりして、めちゃくちゃ面白いです!こんな時期だからこそ日々を数えることは重要な気がしていて、毎日を深く味わいつつ確かにここに存在していることを実感しながら生きていきる今日この頃です。

Q7.今後のビジョンや展開などを聞かせてください
次の映像作品に出演していただけるひとを探しています。キャリーバックを道端で引きつつ歩いてもらいながら、その溝から鳴るリズムに合わせてフリースタイルをする映像です。茨城で活動する即興のフリースタイルラップができるひとを知っている、もしくはできるという人がいましたらshirootkt@gmail.comまでご連絡ください!

Q8.読者へのメッセージをどうぞ!
他にも同時進行でいくつかのプロジェクトが走ってます。やりたいことをやるだけ。必死で着いてきてください!

 

●プロフィール
1992年生まれ。兵庫県出身。茨城県水戸市在住。「詩人たちの声を歌と音で翻訳する」をコンセプトに、詩人たちが書き残した詩から曲を制作し自ら歌う弾き語りを行う。その他カセットテープで音源を制作する Yen Shiromaru 名義のローファイミュージック、旅行をテーマとしたフィールドレコーディングシリーズ 「Sounds of Passage」、水戸芸術館でのワークショッププロジェクト「聴く部」など、音や音楽を含めた「空気感/気配」をテーマにあらゆるボーダーをゆるやかに越えうる表現を日々追求している。

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